海外FXで複数の口座を使っていると、「確定申告ではどう計算すればいいの?」と迷う方は多いはず。口座ごとの損益はまとめて合算し、利益があれば確定申告が必要です。また、海外FXは国内FXとは課税方式が異なり、損失の繰越ができないなど独特のルールがあります。本記事では、複数口座の損益通算や国内FXとの違い、複数口座の確定申告までの手順を初心者にもわかりやすく解説します。
海外FXの複数口座は「合算して」確定申告する
海外FXで複数の口座を持つ場合、業者ごとに分けて申告する必要はありません。すべての口座損益を合算し、最終的な利益額を雑所得として確定申告するのが正しい方法です。
海外FX複数口座の利益・損失は合算する
海外FXで複数の口座や業者を利用している場合は、口座ごとに分けずにすべての利益・損失を合算して確定申告する必要があります。海外FXの損益は「雑所得」に分類されるため、同じ雑所得内であれば損益通算(相殺)が可能です。つまり、利益が出た口座と損失が出た口座をまとめることで、結果的に納める税金を少なくできるメリットがあります。口座ごとに分けて申告するのではなく、「その年の海外FX全体の損益」として扱うのが正しいルールです。
【具体例】複数口座の合算
- A社:+30万円
- B社:-10万円
合計すると+20万円となり、この金額が課税対象となります。
複数口座を合算して利益が出たら確定申告が必要
海外FXの複数口座を合算した結果、利益が出ていれば確定申告が必要です。給与所得者の場合は年間20万円超、給与がない場合は48万円超の利益で申告義務が発生します。逆に、損失のみでトータルマイナスの場合は申告不要です。ただし、損失を確定申告しても翌年に繰り越すことはできないため、無理に申告するメリットはありません。
| 対象者 | 確定申告が必要な金額 |
|---|---|
| 給与所得者 (サラリーマン) | 年間20万円以上の利益がある場合 |
| 非給与所得 (専業主婦・個人事業主など) | 年間48万円以上の利益がある場合 |
たとえば、会社員で、A社で+30万円、B社で-15万円 → 合計+15万円なら20万円以下なので確定申告不要です。合計の利益が20万円以上の場合は、申告が必要です。
海外FXで損失(マイナス)でも確定申告した方がいいケース

基本的に、海外FXで年間収支がマイナスなら確定申告は不要です。なぜなら、確定申告は利益に対する税金(所得税)を支払う制度だからです。株式投資や国内FXは3年間の損失繰越ができるため今後3年間の利益と相殺して税金を減らせますが、海外FXは損失繰越できないので、損失を確定申告する意味はありません。ただし、海外FXと同じ雑所得で収益がある場合は、利益と相殺して税金を減らせるケースがあります。雑所得とは、会社員の給与や個人事業主の報酬、配当・不動産収入以外の所得です。
海外FXと相殺できるもの(雑所得)
- 仮想通貨
- アフィリエイト
- せどり、物販
- 副業収入(開業届を出していない場合)
- Webライター
- Webデザイン
- 動画編集
- 公的年金(国民年金、厚生年金、企業年金など)
よくある雑所得は、仮想通貨やアフィリエイト、Webライターなどで得た副業収入です。最近では、クラウドワークスやランサーズで副業する方が増えており、収入がある場合は相殺しましょう。仮想通貨ブームで含み益を持っている方は、売却して海外FXの損失と相殺するのも手です。このまま上がると思う場合は保有した方がいいですが、税金面を考えるなら売却して相殺することも考えてみてください。また、国民年金や厚生年金を受け取っている場合は、年金収入とも相殺できます。そもそも、公的年金は控除額が大きいため税金は高くありませんが、少しでも税金を減らしたい方は確定申告した方が良いです。
海外FXと国内FXでは税金の仕組みが違う

海外FXと国内FXの税金比較
| 項目 | 海外FX | 国内FX |
|---|---|---|
| 税区分 | 雑所得 | 先物取引に係る雑所得等 |
| 課税方式 | 総合課税 | 申告分離課税 |
| 税率 | 15.2~55.2% ※住民税(10%)・復興特別所得税(2.1%)含む | 一律20.315% ※住民税(5%)・復興特別所得税(0.315%)含む |
| 損益通算できるもの | 仮想通貨/アフィリエイト/せどり/クラウドワークス etc | 他の国内FX業者/先物取引 etc |
| 損失繰越 | できない | 過去3年分を繰越できる |
海外FXと国内FXでは税制が大きく異なります。海外FXは雑所得に分類され、総合課税制度が適応されます。本業収入(会社員なら給与や賞与)・副収入との合算で税率が決まり、15.2~55.2%の税金を支払います(住民税10%・復興特別所得税2.1%含む)。損益通算は同じ税区分でしか出来ないので、仮想通貨やアフィリエイト、せどり、クラウドワークスでの副業収入と相殺できます。ただし、損失繰越はできないので、損益通算はその年しか適応できません。一方、国内FXは先物取引に係る雑所得等に分類され、申告分離税が適応されます。収入や利益額に関わらず、一律20.315%(住民税5%・復興特別所得税0.315%含む)の税金を支払います。損益通算は、基本的に他の国内FX業者との相殺しかありません。ただし、損失繰越
海外FXは「雑所得」(総合課税・累進課税最大55%)
海外FXで得た利益は、税法上「雑所得」として扱われます。雑所得は給与や副業など他の所得と合算され、総合課税の対象になります。課税は累進税率で、所得が増えるほど税率が上がり、最大で55%(所得税45%+住民税10%)がかかる仕組みです。そのため、取引額が大きくなるほど国内FXよりも税負担が重くなる傾向があります。
海外FXの税率(所得税+住民税)
| 課税所得 | 海外FX |
|---|---|
| ~195万円 | 15% |
| 195~330万円 | 20% |
| 330~695万円 | 30% |
| 695~900万円 | 33% |
| 900~1,800万円 | 43% |
| 1,800~4,000万円 | 50% |
| 4,000万円~ | 55% |
例えば、課税所得が300万円程度であれば、適用される税率はおよそ20%前後となり、この場合は国内FXの一律20.315%と大きな差はありません。一方、課税所得が600万円ほどになると、海外FXでは所得税と住民税を合わせて約30%の税率が課されます。国内FXとの税率差は約10%に広がり、負担感は明らかに重くなります。さらに、課税所得が2,000万円を超えるような高額所得者の場合、海外FXの税率は55%に達し、国内FXと比べて倍以上の税負担になります。
数値を入力するだけ!税金を計算したい方はこちら
下記ツールにいくつか項目を入力するだけで、あなたの所得税率がわかります!所得税率が10%以下なら住民税10%を加えても海外FXの方が税金は安くなります。一方、20%以上なら国内FXの方が税金が安くなります。
※各項目は令和6年分(2024年)の計算方法を適応し、概算値を算出しています。
※確定申告の有無により寄付金控除(ふるさと納税)の計算が異なるため、所得税と住民税が異なる場合があります(合計額は同じになります)。
※住民税は10%で計算しています。
※このツールは、情報提供のみを目的として提供されており、正確性や完全性を保証するものではありません。本ツールの使用によって生じたいかなる損失や損害についても、当社は一切の責任を負いません。特に、税金やその他の財務については、専門家に相談することをお勧めします。
税金面で判断する場合は、自分の年収とFXで得られる利益(想定)から税率が何%になるか理解しておきましょう。ざっくり計算ですが、年収700万を超える方は税金面を考えると国内FXの方が圧倒的にお得です。注意点として、税率は課税所得すべてにかかるのではなく、はみ出た分が対象。例えば、課税所得400万円なら全てに30%かかるのではなく、195万円~330万円は20%、330万円~400万円は30%と段階的に適応される点に注意してください。
年収別の課税所得一覧
| 年収 | 課税所得 |
|---|---|
| 200万円 | 132万円 |
| 300万円 | 202万円 |
| 400万円 | 276万円 |
| 500万円 | 356万円 |
| 600万円 | 436万円 |
| 700万円 | 520万円 |
| 800万円 | 610万円 |
| 900万円 | 705万円 |
| 1,000万円 | 805万円 |
海外FXと国内FXの税金について詳しく知りたい方は海外FXと国内FXの税金比較|どっちが安い?をご覧ください。
国内FXは「申告分離課税」(一律約20.315%)
一方、国内FXは「申告分離課税」という仕組みで課税され、税率は一律約20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)です。申告分離課税は、高額利益を狙うトレーダーや安定的に取引を続ける人にとって非常に有利な税制です。反対に、利益が小さい段階では海外FXと比較しても大きな差はありませんが、年収規模が上がるにつれて税負担の差は広がっていくため、トレードスタイルや利益見込みに応じて使い分けを検討すると良いでしょう。
たとえば、国内FXで+500万円の利益を得た場合、課税額は単純に500万円×20.315%=約101万5,000円となります。なお、100万円の利益でも、1,000万円の利益でも税率は律約20.315%で変わりません。高額な利益を出すトレーダーにとっては、国内FXの方が圧倒的に有利になるケースが多いです。海外FXであれば、課税所得に応じて30%、40%と税率が上がり、場合によっては倍以上の税金がかかる可能性もあります。
海外FXと国内FXの損益は通算できないので注意
重要な違いとして、海外FXと国内FXの損益は相殺できない点があります。税法上、海外FXの利益は「雑所得」、国内FXの利益は「先物取引に係る雑所得等」と異なる区分に分類されます。この2つはまったく別枠で扱われるため、損益を相殺することは認められていません。
たとえば、海外FXで-50万円の損失、国内FXで+80万円の利益となった場合でも、合算して+30万円とすることはできず、国内FXの+80万円に対してそのまま課税されます。海外FXの-50万円は切り捨てられ、翌年以降に繰り越すこともできません。正しく理解しておかないと、申告を間違えてしまう可能性があるため注意してください。
| ケース | 損益の例 | 合算できるか | 課税対象 | ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 海外FXと国内FX | ・海外FX+50万 ・国内FX+80万 | × 不可 | 海外FX50万、国内FX80万で別々に課税 | 税区分が違うため、合算できず課税額も別々になる |
| 国内FX同士 | ・国内FX口座A+50万 ・国内FX口座B-30万 | 〇 可能 | +20万に課税 | 国内FX同士は申告分離課税の同じ区分で相殺OK |
| 海外FX同士 | ・海外FX口座A+30万 ・海外FX口座B-5万 | 〇 可能 | +25万に課税 | 海外FXは雑所得扱いなので、同じ雑所得内で通算可能 |
海外FXの複数口座を損益計算する手順・方法
複数口座の損益計算方法
- 海外FXの年間損益計算書の入手する
- 口座A・口座B・口座Cをまとめる流れ
- スキャルピングや自動売買(EA)の規制がない
複数の海外FX口座を持つ場合、口座ごとの損益を合算して申告します。具体的な流れを初心者向けにわかりやすく解説します。
①海外FXの年間損益計算書の入手する
海外FXで複数口座の確定申告を行う際は、まず各口座の年間損益を正確に把握すること。各FX業者は、取引履歴や年間損益レポートを提供しており、簡単にダウンロードできます。年間損益計算書を入手して、口座ごとの損益を確認しましょう。
年間損益のダウンロード方法
- MT4/MT5を利用している場合
→ 取引履歴をエクスポートして損益を確認可能 - FX業者のマイページから
→ 「年間取引報告書」や「損益計算書」をPDFやExcelで取得可能
②複数口座(口座A・口座B・口座C)を合算する
各口座の年間損益を計算したら、口座ごとの損益を合計して申告額を決定します。複数の口座を利用している場合、確定申告では「口座ごと」ではなく「トレーダー本人単位」で損益を合算します。なお、合計がマイナスの場合はその年の確定申告は基本的に不要です。また、海外FXの損失は翌年に繰り越すことはできません。
【複数口座の合算例】
口座A:+50万円
口座B:-20万円
口座C:+10万円
──────────
合計:+40万円 → 申告対象
※合計がマイナスなら、その年の確定申告は不要です。
③損益通算後の金額を確定申告書・e-Taxに入力する

複数口座の合算した損益は、確定申告で「雑所得」欄に記載します。国税庁のe-Taxを利用すればオンラインで入力・提出が可能です。確定申告書類で提出する場合は、雑所得の欄に合計額を記入すればOKです。初心者の方は「口座ごとにバラバラに申告」するのではなく、必ず合算した金額で記入することを意識してください。
図解あり!確定申告のe-tax提出までの流れはこちら

海外FX確定申告の書き方・e-tax提出のやり方
- 国税庁サイトにアクセスする
- 税務署への提出方法を選択する
- 作成する申告書を選択する
- マイナポータルをインストールする
- マイナンバーカードを読み取って本人確認する
- 申告書を作成する
- 海外FXの利益を「雑所得」に入力する
- 控除を入力する
- 住民税の支払い方法を選択する
- 申告書を税務署に提出する
本記事では、国税庁HPから書類作成、e-Tax(スマホ)で税務署に提出する方法を実際の画像を使って解説します。
次に、税務署への提出方法を選択します。マイナンバーカードをお持ちの方は、「スマートフォンを使用してe-Tax」が便利でおすすめです。e-Taxは送料、添付資料が不要で提出から反映される期間も短くなります。また、個人事業主で青色申告している方は控除額が最大65万円になるので、絶対にe-Taxを利用しましょう。

e-Taxと書面提出の違い
マイナンバーカードが無い方は「印刷して提出」を選択し、税務署に直接提出も可能。今後、マイナンバーカードを利用する機会が増えてくる可能性があるため、今のうちに作成しておくのをおすすめします。

次に、作成する申告書の種類を選択します。事業所得・不動産所得がある方以外は、「所得税」をタップしてください。事業所得・不動産所得がある方は、「決算書・収支内訳書(+所得税)」を選択し、決算書・収支内訳書の作成後に所得税の申告書を作成します。

(青色申告者向け)決算書・収支内訳書の作成方法
青色申告で控除(最大65万円)を受けるには、決算書・収支内訳書の作成が必要です。(国税庁HPにも作成例が掲載されています)
「青色申告決裁書」を選択します。(現金主義により青色申告される方は現金主義用、白色申告の方は収入内訳書を選択します)

作成する決算書の種類を選択します。該当する決算書を選択し、入力してください。

決算書に数字を入力したら、貸借対照表が一致していることを確認しましょう。「不一致」になっている場合、入力に間違いがあります。必ず資産と負債が一致するように修正してください。

最後に、納税者の個人情報・納税する税務署情報を入力します。


入力が完了したら、「所得税」をクリックして申告書類を作成していきましょう。

次に、マイナポータルをインストールして、QRコードをスマホで読み取ります。事前にマイナポータルの利用者登録を完了している方は「マイナポータルと連携する」、それ以外の方は「連携しないで申告書等を作成する」をタップしてください。

スマホにマイナポータルアプリをインストールして、QRコードを読み取りましょう。読み取りが完了すると、次に進めます。


次に、スマホでマイナンバーカードを読み取ります。読み取り方法を選択し、「スマートフォンで読み取り」をタップしてください。


マイナンバーカード上にスマホを置くと、本人確認が完了します。以上で、マイナンバーカードの連携は完了です。ここから確定申告書を作成していきます。「申告書等を作成する」をタップしてください。
ここから、確定申告書を作成していきます。「次へ進む」をタップしてください。

続いて、確定申告書の提出方法を選択します。スマホで提出する方は「e-Taxにより税務署に提出する。」を選択してください。また、申告内容に関する質問(3つ)にも回答しましょう。

次に、各所得を入力していきます。海外FXの利益は「雑所得」、会社員の給与は「給与所得」に入力します。開業届を出している個人事業主で副業収入がある方は「事業所得」も忘れず入力してください。

海外FXの種目は、その他で「証拠金取引」と入力します。業務に該当しますか?は「いいえ」を選択し、海外FXの利益・経費を入力します。(源泉徴収税額は記入不要です)

所得の生ずる場所、報酬などの支払者は海外FX業者の住所と業者名を記入します。下記を参考に、入力してください。複数業者ある場合は、「続けてもう1件入力」から記入しましょう。
各業者の記入例
| 海外FX | 住所 | 業者名 |
|---|---|---|
| XMTrading | Eden Plaza,Eden Island,Republic of Seychelles | Tradexfin Limited |
| FXGT | Room 12, First Floor, Kingsgate House, Victoria, Mahe, Seychelles | 360 Degrees Markets Ltd. |
| Exness | 9A CT House, 2nd floor, Providence, Mahe, Seychelles | Exness (SC) Ltd. |
| AXIORY | No. 1 Corner of Hutson Street and MarineParade,Belize City,Belize | Axiory Global Ltd. |
| TitanFX | 1stFloor,Govant Building,Kumul HighwayPort Vila,Vanuatu | Titan FX Limited. |
| HFMarkets | Suite 305, Griffith Corporate Centre, P.O Box 1510, Beachmont Kingstown St. Vincent and the Grenadines | HF Markets (SV) Ltd |

会社員は給与所得も入力しましょう。会社からもらった源泉徴収票を準備して、画面の指示通りに数字を入力してください。

他に、株式投資や国内FXの利益がある場合も申告が必要です。(株式投資は源泉徴収ありを選択していれば不要)国内FXは「先物取引に係る雑所得等」に入力しましょう。

次に控除を入力します。会社員は源泉徴収票に記載された社会保険料を必ず入力してください。また、ふるさと納税した方は「寄付金控除」に入力しましょう。

すべて入力したら、納付する金額が表示されます。

次に、住民税の支払い方法を選択します。「住民税・事業税に関する事項」をタップして、選択画面に移動します。

会社にバレたくない方は「自分で納付」を選択しましょう。自分で納付にチェックしないと、住民税が増えて会社にバレます。少額であればバレる可能性は低いですが、自分で納付がおすすめです。

最後に、e-Taxで税務署に申告書を提出します。マイナンバー(12桁)を入力して、作成した書類を「帳票表示・印刷」から確認しましょう。


決算書等の送信は「上記以外」、マイナンバーカードの認証方法は「QRコード」を選択します。


最後に「送信を実行する」をクリックしたら、確定申告書が税務署に提出されます。間違いがないか確認し、提出したら完了です。

海外FXの損失は翌年に繰り越せない
海外FXの損失は国内FXと違い翌年へ持ち越せません。同年内での損益通算が重要になるため、知らずに損しないよう注意しましょう。
国内FXは損益繰越できるのに対し海外FXは不可
国内FXの損失は「申告分離課税」の扱いとなり、翌年以降最長3年間の損失繰越控除が認められています。しかし、海外FXは「雑所得(総合課税)」に分類されるため、損失を翌年に持ち越すことはできません。この違いを理解しておかないと、国内FXと同じ感覚で申告してしまい、税金計算を誤るリスクがあります。
たとえば、ある年に国内FXで50万円の損失を出した場合、翌年以降に国内FXで利益が出たら、その50万円を差し引いた金額に課税されるため、税負担を軽減できます。一方、海外FXは損失を翌年に繰り越すことはできないため、50万円の損失を出した場合、翌年に海外FXで利益を出しても、この50万円を差し引くことはできず、翌年は利益全額に対して課税されます。
同年内に他の雑所得と相殺する方法
海外FXで損失が出た場合、同じ年の他の雑所得と損益通算することが可能です。雑所得には、副業のアフィリエイト収入、クラウドワークスやせどりなどの副業収入、仮想通貨の利益などが含まれます。
損益通算できるもの
| 海外FX | 国内FX |
|---|---|
| ・仮想通貨 ・アフィリエイト ・せどりやクラウドワークスなど副業収入 | ・他の国内FX業者 ・先物取引 |
たとえば、海外FXで30万円の損失が出ていて、同じ年にアフィリエイト収入で50万円の利益があった場合、損益通算を行うと、50万円-30万円=20万円が課税対象となります。これにより、税負担を軽減することが可能です。
海外FXの損失を有効活用するためのポイント
海外FXで損失が出た場合、翌年以降に繰り越すことはできません。そのため、損失を有効活用するにはその年のうちに通算できる所得があるか確認することが重要。「海外FXの損失は翌年に持ち越せない=その年で完結させる」ことを理解していないと、損失を無駄にしてしまう可能性があります。損益通算できる対象を確認して、効率よく節税することが大切です。
損失が出た場合のチェックポイント
- 他の所得区分とは相殺できない
- 給与所得や事業所得、国内FXの利益など、区分が異なる所得とは通算できません。
- 副業や仮想通貨の利益とまとめて申告すると節税効果あり
- その年に損失が大きい場合、同じ雑所得に分類される副業収入や仮想通貨利益と通算することで、課税対象額を減らせます。
海外FXの確定申告で税金負担を軽くする3つの方法
海外FXで税負担を軽減する方法
- 必要経費を計算する(通信費・書籍・セミナー代など)
- 副業の雑所得との通算で税負担を軽減する
- 税理士に依頼すべきケースと費用の目安
海外FXで利益を上げた場合、税金は避けられません。しかし、正しく対策を行えば負担を軽くすることが可能です。ここでは、誰でも実践できる3つの方法を紹介します。
必要経費を計算する(通信費・書籍・セミナー代など)

海外FX・国内FXで経費にできるもの(代表例)
- iPhone、スマホの本体代
- トレードに使うPC、ディスプレイ、机、椅子
- 家賃(賃貸)、固定資産税(持ち家)
- 通信費(Wi-Fi代、スマホ代)
- FXに関するセミナー、書籍
- VPS、自動売買ツール(EA)
海外FXの利益は「雑所得」にあたり、必要経費(FXに関する費用)を差し引いて申告可能です。FX関連の費用を経費計上して節税しましょう。
他にも交通費や飲食代も経費にできますが、多くの方が計上できそうなのは上記のとおりです。もし購入予定があれば、利益が出た年に買って経費計上した方がお得になります。注意点として、スマホ代や家賃は全額ではなく、FXに関する割合で経費計上しましょう。例えば、10畳の家のうち1畳分使っているから家賃の10%を経費にします。税金を払いたくないからと言って、なんでも経費にすると国税庁の調査が入る可能性があります。追加徴税や脱税で逮捕されるリスクがあるので、誰が聞いても妥当と思われる範囲で経費計上しましょう。
副業の雑所得との通算で税負担を軽減する
海外FXの利益は、同じ雑所得内であれば損益通算が可能です。他の雑所得とは、仮想通貨やアフィリエイト、せどり、クラウドワークスなどの副業収入を指します。もし、海外FX同じ雑所得で損失があれば、損益通算して海外FXの税金を減らせます。ただし、その年の損益しか合算できないので注意してください。昨年発生した仮想通貨の損失と今年得た海外FXの利益は、損益通算できません。
【具体例】他の雑所得と損益通算
- 海外FXで+100万円、副業のアフィリエイトで-30万円 → 課税対象は+70万円
- 海外FXで-50万円、仮想通貨で+80万円 → 課税対象は+30万円
税理士に依頼すべきケースと費用の目安
確定申告を自分で行うことは可能ですが、海外FXで複数口座や複数業者で取引してると、取引履歴や損益計算が複雑になりやすいです。ミスを防ぐためには、税理士に依頼するのが安心です。また、FXだけでなく仮想通貨やアフィリエイトなどの副業収入もある場合、全て合算して正確に計算する必要があり、初心者にとっては負担が大きいです。また、年間所得が高額で累進課税の適用を受けるケースでは、計算ミスや申告漏れによる追加課税のリスクも高まります。
税理士に依頼する場合の費用の目安は、確定申告の作成だけであれば3〜7万円程度が一般的です。節税相談や申告丸投げの依頼になると、10万円以上かかるケースもあります。しかし、年間トレード規模が大きく税金額も高額になる場合は、税理士費用を支払ったとしても節税効果や安心感のメリットの方が大きくなることが多いため、費用対効果を考えて依頼を検討する価値があります。
税理士に依頼するべきケース
- 複数口座や複数業者を利用し取引履歴が複雑
- FXだけでなく仮想通貨や副業収入もあり、計算が難しい
- 所得が高額で累進課税による負担が大きい
海外FX確定申告の複数口座に関してよくある質問
【まとめ】海外FXの複数口座は「合算・損益通算」してから確定申告しよう
海外FXの複数口座を持っている場合、口座ごとではなく合算して確定申告することが必須です。利益と損失をまとめて損益通算し、最終的にプラスになった金額を雑所得として申告します。また、国内FXとの大きな違いとして「税率が累進課税で最大55%に達する」「損失の繰越ができない」という点を理解しておきましょう。損失を翌年に回すことはできないため、その年のうちに他の雑所得と相殺して活用するのが賢い方法です。










