海外FXのアービトラージは、理論上リスクなく100%利益を出せると言われます。しかし、甘い言葉を信じるのは危険!多くの業者で禁止されているこの手法は、利益没収や出金拒否、最悪の場合には口座凍結のリスクがあります。当記事では、アービトラージの4つの種類とメリット、注意点を徹底解説します。
海外FXのアービトラージとは?
アービトラージは、「裁定取引」とも呼ばれ、同一価値を持つ金融商品の価格差を利用し、利益を確定させる取引手法です。同じ通貨ペアの価格はどの海外FX業者でもほぼ同じですが、市場の急変やシステムの違いにより、瞬間的にレートが乖離する事態が発生します。この「価格の歪み」を見つけ出し、割安な業者で買い(ロング)、割高な業者で売り(ショート)を同時に行い、価格がどちらに動いても差額を利益として得ます。理論上は、リスクなく利益を追求できるとされていますが、現在の市場では価格差はコンマ数秒で解消されるので、手動での取引は困難です。
海外FXのアービトラージは違法ではないが禁止する業者あり
アービトラージ自体は法律上の違法行為ではありません。ただし、「違法」ではなく海外FX業者内の「規約違反」になる可能性があります。利用規約で、アービトラージは禁止行為とされている場合があり、違反行為をすれば口座凍結や約定取消、利益没収、出金拒否といったペナルティーを受けることも。
【安全に取引するために必要なこと】
- 海外FX業者の禁止事項を事前に確認する
- EAの挙動が約款に触れないかを事前にテストする
- 出金実績とサポート対応の評判を確認する
【一覧】海外FXや国内FXで両建てできる業者
海外FX業者によって許可している範囲が異なります。ThreeTraderでは両建てはOKですが、アービトラージなどの悪質な両建て取引は禁止です。その他海外FX業者でも、同様なので取引前に確認しておきましょう。
| 業者名 | 同一口座の両建て | 別口座間の両建て | 異業者間の両建て (国内FX含む) |
|---|---|---|---|
| ThreeTrader | ○ | ○ ※ゼロカット対象外 | ○ ※ゼロカット対象外 |
| Exness | ○ | ○ | ○ |
| IS6FX | ○ | × | × |
| FXGT | ○ | × | × |
| FBS | ○ | ○ | × |
| TradersTrust | ○ | ○ | ○ |
| BigBoss | ○ | × | × |
| VantageTrading | ○ | × | × |
| easyMarkets | ○ | × | × |
| AXIORY | ○ | × | × |
| HFMarkets | ○ | × | × |
| XS | ○ | ○ | ○ |
| LandPrime | ○ | × | × |
| XMTrading | ○ | × | × |
| IronFX (STP/ECN口座) | × | ○ | × |
| IronFX (ライブ口座) | ○ | × | × |
| TitanFX | ○ | × | × |
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海外FXのアービトラージ4種類を解説
アービトラージは、利用する価格差の種類によりいくつかの手法が存在します。代表的な4つの種類について、仕組みを解説します。ただし、多くはFX業者の利用規約で禁止されている可能性が高いことを覚えていてください。
業者間アービトラージ
業者間アービトラージは、2つ以上の異なるFX業者間で生じる、同一通貨ペアのレートの差を利用して利益を得る手法です。本来は同一であるべき価格に歪みが生じた瞬間、割安な業者で買い、割高な業者で売る注文を同時に出します。両建ての状態となるため、為替レートの変動によるリスクを相殺しつつ、価格差の収束時に利益を確定させます。しかし、現代の取引環境では明確な価格差は稀で、もし発生してもシステムトレーダーによりミリ秒単位で差は埋められます。手動での取引は、まず間に合いません。システムの隙を突く行為は、多くの海外FX業者が厳しく禁止しています。
例えば、A社のUSD/JPYレートが「Bid (売) 150.000 / Ask (買) 150.002」、B社のレートが「Bid (売) 150.005 / Ask (買) 150.007」とします。A社の買い価格(150.002)は、B社の売り価格(150.005)よりも安価です。そこで、A社で1ロット(10万通貨)を150.002円で買い(ロング)、同時にB社で1ロット(10万通貨)を150.005円で売ります(ショート)。その後、価格差が収束し、両社のレートが150.003円になった時点で同時に決済しました。A社の利益:(150.003-150.002)×10万通貨=+100円となり、B社の利益:(150.005-150.003)×10万通貨=+200円の合計で300円の利益が(スプレッドや手数料を除き)確定します。
スワップアービトラージ
スワップアービトラージは、異なるFX業者間または同一業者内の通貨ペア間で発生する「スワップポイント」の差額を狙う手法です。スワップポイントとは、2国間の金利差調整分を指し、FX業者によってスワップ設定は異なるため、「受け取りスワップ」が大きく、「支払いスワップ」が小さい業者の組み合わせを探します。割高なスワップを受け取れる業者で買い(または売り)、同時に割安な支払いで済む業者で反対売買(両建て)を行います。為替レートの変動リスクを相殺しながら、スワップの差額を利益として蓄積していく仕組みです。一見、安定した収益源に見えますが、多くの海外FX業者で規約違反とみなされる可能性が高く、検知した場合口座凍結に至るケースも報告されています。
例えば、高金利通貨ペア(例:USD/MXN)で、業者Aと業者Bのスワップポイントを比較します。業者A:買いスワップ +300円/売りスワップ-400円、業者B:買いスワップ+200円/売りスワップ-250円 この場合、最も有利な組み合わせは、A社での「買い」とB社での「売り」です。A社でUSD/MXNを1ロット買い、B社でUSD/MXNを1ロット売ります。為替変動による損益は両社で相殺されると仮定します。日々のスワップ損益は、A社で+300円、B社で-250円となり、差し引きすると、300円-250円=+50円が、ポジションを保有し続ける限り毎日発生します。
3通貨アービトラージ
3通貨アービトラージは、「三角裁定取引」とも呼ばれる手法です。3種類の異なる通貨ペア間のレートの不均衡を利用して利益を得ます。通貨ペアのレートには一定の関連性があり、「EUR/JPY」のレートは、理論上「EUR/USD」と「USD/JPY」のレートから算出できる値と一致します。しかし、計算上の理論値と実際の市場レートとの間に「歪み」が生じることがあります。歪みを発見した瞬間に、3つの通貨ペアのポジションを組み合わせ、為替変動のリスクを相殺しつつ、歪み分の利益を確定させる取引です。非常に複雑な計算を瞬時に行う必要があり、手動での実行はほぼ不可能で専用の取引システムが必須になります。
EUR/JPYレートが「EUR/USD (1.0800) × USD/JPY (150.00) = 162.00」だとします。市場で実際に提示されているEUR/JPYの買いレートが161.99だった場合、「割安」と判断でき、システムは以下の取引を同時に実行します。
- EUR/JPYを161.99で1ロット買う
- EUR/USDを1.0800で1ロット売る
- USD/JPYを150.00で1ロット買う(※実際にはEUR/USD売りとUSD/JPY買いを合成してEUR/JPY売りを建てる計算) ポジションが相殺され、レートの歪み(この場合0.01円相当)が利益として残ります。
ボーナスアービトラージ
ボーナスアービトラージは、海外FX業者が提供する「ボーナス」を利用する手法です。異なる2つの海外FX業者(A社とB社)を選び、両方でボーナスを受け取ります。業者Aである通貨ペアを買い、業者Bで同一通貨ペアを同ロット売ります。相場が変動すると、片方の口座は利益が膨らみ、もう一方の口座は元本とボーナスを全て失いゼロカットされます。結果、ゼロカットされた口座の損失は業者が負担し、利益だけが手元に残る仕組みです。業者の資金を搾取する行為であり、ほぼ全ての業者で規約違反とされています。
例えば、業者Aと業者Bに、10万円を入金。両社から100%入金ボーナス(10万円)が付与され、有効証拠金は各20万円となります。業者AでUSD/JPYを150円で2ロット(20万通貨)買い、業者BでUSD/JPYを150円の時に2ロット(20万通貨)売ります。その後、USD/JPYが151円まで1円上昇した場合、業者A(買い):+20万円の利益。有効証拠金は40万円。業者B(売り):-20万円の損失。有効証拠金20万円が全て失われ、口座残高はゼロ。両方の取引を終了すると、業者Bは損失ゼロ、業者Aには20万円の利益が残る。
海外FXでアービトラージをする3つのメリット
アービトラージは多くのリスクと規約違反の問題を抱えていますが、理論上メリットも存在します。ここでは、なぜ一部のトレーダーがこの手法に魅力を感じるのか、3つの側面に分けて解説します。
ほぼ確実に利益を得られる
アービトラージのメリットは、「理論上、ほぼ確実に利益を得られる」という点です。FX取引は、未来の価格変動を予測し、予測が外れれば損失を被るリスクがあります。一方で、アービトラージは価格の「予測」を行わず、発生している「価格の歪み」を取引に利用します。相場の先行きを読む必要がなく、価格差という「事実」に基づいて利益を積み上げられる点が、アービトラージが魅力的に見える最大の理由です。
- 業者間アービトラージの場合|約定した瞬間に利益が確定し、その後相場がどちらに動いても、両建てされたポジションの合計損益は変動しない。
- スワップアービトラージの場合|為替変動リスクをヘッジしつつ、金利差だけを得られる。
相場が大きく動かないレンジ相場でも問題ない
アービトラージのもう一つのメリットは、相場が大きく動かない「レンジ相場」でも利益を得られる可能性があることです。多くのデイトレードやスイングトレードは、価格変動(ボラティリティ)がなければ利益を伸ばすことが難しくなります。
しかし、アービトラージで注目するのは、相場の方向性ではなく、異なる市場間の「価格差」です。為替レートが全く動かない相場でも、業者間でレートの乖離が発生すれば、業者間アービトラージは成立する可能性があります。スワップアービトラージに至っては、為替レートが安定している方が、両建てポジションの証拠金維持率が安定するため、むしろ好都合です。
高いトレードスキルが必要ない
アービトラージは、裁量トレードに求められる「高いトレード技術」を必要としない点もメリットです。安定的に利益を上げるには、チャートを分析するテクニカル分析の知識や経済指標を読み解くファンダメンタルズ分析のスキルが不可欠です。技術の習得には、長い学習時間と実践経験が必要です。対して、アービトラージのロジックはシンプルで「価格差を発見し、機械的に実行する」だけで、相場を予測する必要はありません。ただ、誰にでもできそうですが「発見」と「実行」を人間が手動で行うことは、現代の市場スピードではほぼ不可能です。
海外FXでアービトラージをする際の注意点
今まで解説したメリットは、理論上のもので実際の取引でアービトラージを行うには、注意点が存在します。安易に手を出すと全資金を失うリスクもあるため、必ず確認しましょう。
海外FX業者が禁止している手法は使わない
最も重要な注意点は、「海外FX業者が禁止している手法は絶対に使わない」ことです。本記事で解説した手法の多く、特に「業者間アービトラージ」や「ボーナスアービトラージ」は、多くの海外FX業者では規約違反とされています。システムの遅延や価格提示のズレを意図的に突くアービトラージは、海外FX業者に損失を与える行為とみなされます。その為、取引を厳しく監視し、検知システムも高度化しています。アービトラージを行ったと判断された場合、利益没収や出金拒否、最悪の場合には口座凍結される可能性があります。
常に価格のチェックが必要
アービトラージを実行する上での課題は、「常に価格のチェックが必要」な点です。「価格の歪み」は、発生してもすぐに(多くの場合1秒未満で)解消されます。利益の機会はいつ発生するかわからないため、24時間複数のFX業者や通貨ペアのレートを監視し続ける必要があります。人間が手動で複数の画面を確認と判断し、両建て注文を出すことは現実的ではありません。仮に価格差を発見できたとしても、注文を入力している間に価格差は消滅します。したがって自動売買プログラム(EA)を開発し、サーバー(VPSなど)で24時間稼働させ続ける環境が必須となります。
複数ポジションを保有するためコストが多くかかる
アービトラージが理論通りにいかない理由の一つに、「スプレッドが多くかかる」コストの問題があります。アービトラージは、2つ(あるいは3つ)のポジションを同時に建てる「両建て」が前提です。業者間アービトラージであれば、業者Aと業者Bでポジションを持つため、2倍の取引コストが発生します。さらに、アービトラージで狙う「価格の歪み」は、わずかで狙う価格差が両方のポジションにかかる往復スプレッドの合計値を上回っていなければ、取引した瞬間に損失が確定します。
例えば、業者Aと業者Bの間に0.5pipsの価格差(サヤ)を発見したとします。仮に、業者Aのスプレッドが0.6pips、業者Bのスプレッドが0.6pipsだったとします。取引(両建て)を実行した瞬間に、0.5pipsの利益機会に対して、合計1.2pipsのコストが発生します。結果、0.5-1.2=-0.7pips となり、取引するほど損失が膨らみます。
多くの資金が必要
アービトラージは、一回の取引で得られる利益が少ないため多くの資金が必要です。スプレッドやスリッページを考慮した後の利益が、0.1pipsだった場合、1ロット(10万通貨)の取引で得られる利益はわずか100円程度。月に数万円のまとまった利益を目指すのであれば、何百回、何千回と繰り返すか、または一度に取引するロット数を引き上げる必要があります。大きなロット数で取引するためには、それ相応の証拠金が必要です。さらに、複数の業者にまたがってポジションを建てることが多いため、各業者に十分な資金を入金しておかなければならず、資金効率は悪化しやすくなります。
例えば、業者間アービトラージで、スプレッドコストを差し引いた後の純利益が0.1pipsだったと仮定します。USD/JPY(1ドル140円)の場合、1ロット(10万通貨)の取引で得られる利益はわずか100円です。月に10万円の利益を目指す場合、同じ取引を1,000回成功させる必要があります。または、一度に100ロット(1,000万通貨)の取引を実行する必要がありますが、両業者にそれぞれ数百万円単位の入金が必要です。
ロスカットに注意する
業者間やスワップのアービトラージでは、為替変動リスクを相殺するために両建てを行います。業者Aの口座では利益が増加しますが、業者Bの口座では同額の含み損が増加によって証拠金維持率の低下し強制ロスカットされます。結果、業者Aのポジションだけが残り、両建てのヘッジが外れた状態になってしまいます。万が一、業者Bのロスカット直後に相場が反転した場合、業者Aのポジションは大きな損失が出るため、口座状況は常に確認しておきましょう。
海外FXのアービトラージに関するよくある質問
海外FXのアービトラージはリスクが多いのでおすすすめしない
アービトラージ(裁定取引)は、業者間の価格差やスワップ差を利用し、理論上は確実に利益を狙う手法です。これには「業者間」「スワップ」「3通貨」「ボーナス」といった種類があり、「ほぼ確実に利益を得られる」などのメリットが多く挙げられます。しかし、アービトラージは違法ではありませんが、多くの海外FX業者で「規約違反」とされており、発覚すれば利益没収や出金拒否といった重いペナルティを受ける可能性があります。特にボーナスを悪用する手法は、業者の資金を搾取する行為として厳禁です。
また、現実的な取引は難しく、 価格差は数秒で消滅するため手動取引はほぼ不可能であり、EA(自動売買)とVPSによる24時間監視が必須です。さらに、両建てを行うためスプレッドコストが多くかかり、わずかな利益がコストに負けることも少なくありません。加えて、少ない利益を積み上げるには多くの資金が必要な一方、片方の口座がロスカットされるとヘッジが外れ、大きな損失を被る危険も伴います。アービトラージは100%勝てるという理論上のメリットに対し、リスクが圧倒的に大きく、最悪の場合、口座凍結となり二度とその業者で取引できなくなる可能性もあるので行わないようにしましょう。







